本会について
小児がんの80%が治る時代になり、治った後の患者が通常の社会生活が送れるように小児がんと診断されたときから精神的や社会的に支援することの重要性が認識されています。一方で、つらい治療を受けても亡くなる子もおり、終末期ケアや家族への悲嘆ケアも課題です。また、闘病中には母親が付き添うことで、ほかの家族が取り残される問題もあります。このように、小児がんでは、患者への医学的な治療だけでなく、心身の発達や社会生活の支援、さらに家族の支援も含めた包括ケアが大切です。 中部小児がんトータルケア研究会(以下、本会)は、このような小児がん患者の包括医療の充実を図ることで小児がん患者のQOL向上に寄与することを目的として設立され、中部地区に所在する医療機関、教育機関、関連支援団体又は当事者の会に属し本会の目的に賛同する人たちで構成されています。 2001年に第1回研究会を開催して以来、年1回の研究会を通じて情報交換を行っています。研究会は、毎回、70名~100名の参加を得て、特別講演、シンポジウムまたはワークショップ、一般演題のプログラムにおいて活発な意見交換が行われています。 本会は、医師、看護師、コメディカルスタッフ、教員、患者団体や当事者など小児がんのあらゆるステークホルダが一同に会して小児がん患者・家族の支援に関わる問題について対等に意見交換を行うため、研究会ではお互いを「さん」付けで呼び合うことにしています。中部地区に限らず、他地域からの参加も可能です。関心のある方は是非ご参加ください。
代表幹事 高橋 義行(名古屋大学大学院医学系研究科小児科学 教授)
(設立の経緯と沿革)
2000年に財団法人「がんの子供を守る会」による「小児がん患児とその家族の支援に関するガイドライン」作成を機に、地域活動推進のためガイドライン地区委員を置くことになり、中部ブロック委員に堀部が指名されました。その活動の一環として、2001年3月30日に小児がん患者支援に関する情報交換の場作りを目的に「中部ブロックガイドライン地域施設委員会」が開催され、東海地区の小児がんの診療に携わる小児科医・小児外科医が参集しました。その会議において、すでに静岡県で開催されていた「がんの子どものトータルケア・ターミナルケア研究会」をモデルに、中部地区の関係者に広く呼びかけて小児がん患児の支援に関する情報交換の場を設けることが提案され、「中部小児がんトータルケア研究会」を設立することが決定されました。 7月6日の準備会を経て、2001年11月3日に名古屋大学医学部「鶴友会館」大会議室にて第1回中部小児がんトータルケア研究会が開催され、以後、毎年9月末または10月初めの土曜日に研究会が開催されています。 研究会の開催主体は、第1回研究会が日本ロシュ株式会社、第2回から第11回は中外製薬株式会社の共催として開催されました。第13回から自主開催となり、第14回から小児がん拠点病院機能強化事業の支援を受けて開催されました。そして、第19回から東海・北陸ブロック地域小児がん拠点病院事業主催の研究会となり、現在に至ります。
名誉会員 前代表幹事 堀部敬三(国立病院機構名古屋医療センター小児科顧問、上席研究員)